【16.01.01】「同友会の学びを活かして」(8)
障がい者に職を、そのために多角化を
金沢QOL支援センター㈱
代表取締役 岩下 琢也 会員
入会のきっかけは、起業したタイミングでの介護関係の先輩からの紹介である。今思えばビジネスマナーはおろか名刺交換すらまともに出来ない中での参加だった。起業したてであったこともあり、興味があったのは経営者は何を考えているのか、社員さんに対してどのように接しているのか、経営者ってどんな方達なんだろうと素朴なものであった。
初めて参加したテーブル討論では、ネガティブ発言や自己中心的な発言が目に付いたり、「良い経営者とは?」のテーマに対して大半の会員が「会社を潰さないことが良い経営者である」の答えに少し違和感を感じた。自身は「良い経営者とは社員の皆さんに、思いやりを持って尊敬することである」と答えた。その思いは今も全く変わっていない。
そんな中でのスタートではあったが、経営者の仲間入りをして討論を重ねていくうちに、先輩方の考えや人情味に親近感を感じるようになった。経営の悩みを相談すると、経験に基づいたアドバイスを頂き、よい刺激になり感謝することが多かった。また、職種柄シルバービジネス研究会や障がい者委員会に属しているが、その活動も経営の上でプラスになっている。今は同友会活動を通して経営者としての意識が高まり、会員同士の交流が広がり、視野も広がったと感じる。
起業して四期目、事業は順調に成長しおり、スタッフも今では百名を越え、昨年は名古屋にも拠点を開設し事業の拡大を果たした。医療・介護福祉事業が本業ではあるが、以前より、デザイン、印刷の異業種にも展開している。そして、今回飲食業を始めた。これらの展開は単なる多角化ではなく、常に福祉の観点が軸にある。障がい者に職を提供することが目的で、障害を持った方が活躍できる場があれば、今後も異業種への展開をする。
今後のビジョンは「地域で医療・介護を創造し、世界へ発信する」。医療・介護サービスを、おもてなし産業と捉え、超高齢化先進国で培った質の高い地域医療・介護サービスを世界に発信し、世界に価値を提供する壮大なものだ。
若さの中に仕事への熱い情熱、今後の更なる躍進と可能性を感じた取材だった。
※社名のQOL(Quality of Life)とは『生活の質』と訳され、人間らしく、満足して生活しているかを評価する考え方。つまりある人がどれだけ人間らしい生活や自分らしい生活を送り、人生に幸福を見出しているか、ということを尺度として捉える概念である。